野良猫を保護するまでの顛末④

野良猫を保護するまでの顛末 / / ④ / ⑤(完)

猫の入ったキャリーは重かった。動物病院まで10分ほどの距離を歩くうちに私の腕はパンパンになり、興奮で手が震えているのか疲労で手がいうことを聞かないのか分からない状態となった。

病院に着いて受付で問診票を受け取った。猫の名前を書く欄があったので迷わずポテと書いた。毛色を書く欄もあった。ポテは一見黒猫のようだが、かき分けた内側の毛や喉元は白っぽく、腰のあたりは少し黒が褪せたような茶色である。少し迷って「黒、焦げ茶」としておいた。

動物病院に到着したポテ入りのキャリー

時間が遅かったこともあって他に患畜はおらず、すぐ診察室に通された。白衣の獣医さんが入ってきて「この子は…」と言いながら手元の問診票に目を落とし、「ポテちゃんですね」と続けた。それを聞いて、あぁポテは本当にポテになったのだ、うちの子になるのだと思って何だか胸がつまった。

ポテはキャリーから洗濯ネットに移されることになった。スタッフが使い慣れた様子でネットを持ってくる。1人がキャリーを抱えて傾け、もう1人がネットで受け止めようとしたところ、一瞬の隙をついてポテが外へ飛び出した!完全にパニックに陥っている。部屋の隅から隅まで大ジャンプを決め、上部に設置されていたモニターに飛び乗ろうとしてモニターごと倒れて落下した。結局、棚の上に追い詰められたところをネットで捕獲された。追い詰められたポテは見たことのない、瞳孔の開ききった目をしていた。

ポテは体重計を兼ねた診察台に移された。暴れたこともあり獣医さんがまず爪を切ってくれた。体重計は3.5キロと表示されている。猫風邪がひどいようなのでワクチンや去勢は体調が戻ってからと説明があり、ポテはレントゲンと血液検査のために別室へ連れていかれた。しばらくして獣医さんが戻ってきて、検査結果を示しながらポテの状況を教えてくれた。まずポテは4歳や5歳の若い猫ではないということ。毛並みや、歯が一部抜けていることから10歳を超えているかもしれない。心音が聞き取りづらいほど呼吸が激しく、空気が胃に入ってしまい大量に溜まっていること。体温が40度もあり、熱中症の可能性があること。外傷はなし。そしてポテは猫白血病(FeLV)陽性だった。

正直、ずっと具合の悪そうなポテを2週間ほど見てきて猫エイズ白血病は陽性かもしれないと覚悟していたので、落ち着いて診断を聞くことができた。エリザベスカラーをつけられて洗濯ネットごとキャリーに入ったポテは、私の横でしょんぼりと縮こまっている。何かあればすぐ電話して下さいと獣医さんは頼もしい口調で言った。数日のうちに鼻水が改善してごはんも食べるようなら、2週間後にまた連れてくることになった。

 

自分用メモ

  • 翌日も口を開けてハァハァしていたらすぐ連絡する。⇒翌朝には呼吸はおさまった。
  • 数日様子を見て鼻水がおさまらずごはんも食べないなら1週間後に受診、改善があれば2週間後に受診する。⇒2週間後で大丈夫そう。
  • 粉薬を1日2回、餌に混ぜてあげる。できそうなら目薬兼鼻薬も。⇒粉薬OK。目鼻薬は困難。
  • 餌はシニア用でなく成猫用を数時間ごとに小分けにして与える。⇒ごはんOK。
  • うんちに虫がいないか確認して次回伝える。⇒虫は見当たらない。