野良猫を保護するまでの顛末⑤(完)

野良猫を保護するまでの顛末 / / / ⑤(完)

薬をもらい会計を済ませて動物病院を出た。時刻は19:30を過ぎている。近くにまだ開いているペットショップがあったのでそこまで歩き、トイレとフードを買った。生体販売をしているショップで買うことには抵抗があったが、とにかくポテが今晩過ごせる環境を作ることが最優先である。

ショップを出てすぐタクシーを拾うことができた。トイレ本体が入った大きな段ボール箱とキャリーを抱え、何とか乗り込んだ。運転手さんがキャリーに目を止めて「犬か何か買われたんですか?」と尋ねた。大荷物を抱えてペットショップの前から乗り込んできたのだから当然の反応である。野良だと言えば嫌がられるかも…と思いながら、近くで猫を保護したのだと正直に答えた。運転手さんはちっとも嫌な顔をせず、そうだったのですかと言った。犬を飼っていて、猫も好きなのだそうだ。いつも犬の散歩をしている公園にも地域猫がいるのだと教えてくれた。

20:00頃自宅に到着し、一室の隅にキャリーを置いて扉を開けた。ポテは力なくうずくまって動かない。そっと頭を撫でてみたが無反応で、まだ瞳孔の開いた目でうらめしげにこちらを見ている。キャリーのそばに餌と水を置き、近くにトイレをセットして部屋を離れた。隣の部屋にいるとハッハッハッハッとせわしなく口呼吸をしているのが聞こえてきた。餌や水に手を付ける気配はもちろんない。激しい呼吸音は24:00過ぎまで断続的に続き、ポテも私も眠れない夜を過ごした。

キャリーから出てくる気配はない

ポテを家へ連れて来ることについて、正直迷うところもあった。ポテは優しい猫なので他の野良たちとうまく付き合っていたようだ。餌やりの女性によれば、去勢していないのに雌を追いかけることもなかったという。穏やかに暮らしているそのコミュニティから引き離して見知らぬ場所へ連れ去ることはどうなのか、何度も考えた。それに高齢で何らかの病気も持っている可能性が高いことは、病院で診断を受ける前から分かっていた。無理に連れて来て、家にも私にも一切慣れないまま死んでしまうようなことがあったら、後悔してもしきれない。このまま外で静かに生きていくポテを見守る道もあったと思う。

けれど頭の中で悩む一方で私の体は公園に通い、チュールや洗濯ネットやキャリーバッグを買い、動物病院を調べ、部屋にトイレを置く場所などを確認していた。酷暑の屋外で生きられる体調ではなかったとか、人が好きな猫だから人と暮らした方が良いとか、それらしい理屈を見つけることはできる。しかし結局は単純に私がそうしたかったのだ。ポテを見つけて、差し出した手に顎をのせてきた時から、私はポテと暮らしたかった。だからポテを家に連れて帰ることにした。

ポテは白血病陽性なので長くは一緒にいられないかもしれない。そもそも高齢の猫である。でもそれも全部含めて、私がそうしたくて決めたことなのだから、どんと受け止めようと今は思っている。

家に来て11日目の朝