我々はそれをポテチと呼ぶことにした③(完)

我々はそれをポテチと呼ぶことにした / / ③(完)

家に来て2度目の夜が明け、3日目の朝、ポテはどうやら人間のベッドの下を居場所と定めたようだ。奥の方でうずくまっているので薬を混ぜたチュールを差し入れると完食。しばらく隣の部屋でパソコンに向かっていたところ、昼前になってペチャペチャという音が聞こえてきた。何だろう。ベッドの下を覗いてみると、何とポテが毛繕いをしている!公園で出会ってから2週間、毛繕いする姿を見るのは初めてである。これは嬉しかった。点滴や薬が効いて少し口内が楽になってきたのかもしれない。ヨダレももう出ていないようだ。ポテはずいぶん熱心に、覗いている私に気づいてからもじっくりと時間をかけて体中を舐めていた。

記念すべき初めての毛繕い

昼過ぎにまたチュールを食べた。どうもポテには好みがあるようで、液状のチュールは大好きだがスティックタイプはイマイチらしい。どちらもまぐろ味なので食感の問題だろうか。ドライフードは相変わらず一口ほどしか食べてくれない。水を飲む様子がないのも気にかかった。そしてこの日の夜も激しく夜鳴きをした。時折窓ガラスに体当たりするような音も聞こえてくる。翌朝見てみるとかなり高い位置にポテの手形らしき跡がいくつもついていた。

4日目、ポテが少し甘えるような様子を見せ始めた。昼頃にはベッドの下から顔を突き出してナァナァと鳴きチュールの催促をした。食べ終わると奥へ戻っていったので、こちらも腹ばいになって手を伸ばし顎や背中を撫でていると不意にごろんとお腹を見せた。気を許してくれつつあるのだろうか。排尿についてはもう問題なさそうで、もよおすとさっさとトイレに入りスマートに済ませている。

記念すべき初めてのゴロン

その夜、ついにその時がきた。ポテが排便したのだ。私は出かけていて見ることができなかったが、猫トイレにころんとしたモノが2欠片ほど確認された。待ちに待ったポテのうんち。我々はそれをポテチと呼ぶことにした。お食事中の方はすみません。

さらに5日目の朝、なかなかドライフードに手をつけてくれないので試しにお湯をかけて出したところ爆食した。ポテは猫風邪で鼻が利きづらく、歯肉炎もひどいので、お湯でふやかしてにおいを出すと食べやすいようだ。水分補給もできるため一石二鳥。早く気づけば良かった。留守番中には特大サイズのポテチも排出した。お食事中の方、特にジャガイモを揚げたスナック菓子など召し上がっている方には重ね重ねすみません。

こうして連れ去りから約84時間でポテは「我が家を生活の場として認識する」という目標を達成してくれた。それ以降もよく食べてよく出している。激しい夜鳴きをしたのも3日目までで、以降はたまに窓に向かってナァーと一声鳴くぐらい。ベッドに上がってきたのは残念ながら最初の1回きりだが、一緒に寝られる日も遠くない…かもしれない。