ききわけのいい猫

物心ついた頃から猫が好きだった。家族に動物アレルギー持ちがいたため子どもの頃は猫を飼うなど夢のまた夢という感じだったが、進学を機に実家を離れてから夢が現実味を帯びてきた。とはいえ学生の身でひとつの命に責任を持つことができるだろうか。卒業後は(おそらく飛行機の距離を)引っ越さねばならないという事情もあった。それですぐには決断できずに市の保護猫サイトをのぞいたり、猫を飼っている方のブログを読んだりしていた。当時は自分も1人暮らしだったのでブログ村の「猫と一人暮らし」というカテゴリをよく見ていた。その中にリアノンさんの「ききわけのいい猫」というブログがあった。

quatour.blog.fc2.com

リアノンさんはレオくんと名付けた猫と穏やかな日々を送る様子を発信しておられた。頻繁に更新されなくなってからも過去の記事を読み返したくて時折ブログを訪問していたのだが、昨年、レオくんが13歳と1カ月で亡くなったことを知った。本日9月11日はレオくんの命日である。今頃きっとあの美しい優雅な姿で、長い前足を伸ばして、空からリアノンさんを見守っていることだろう。

ポテは胴が長い

私が学生だったあの頃から10年以上が過ぎた。その間に私は就職して、今の職場に転職して、猫可のマンションに引っ越した半年後にポテに出会った。ポテもききわけのいい猫である。トイレを認識してからは失敗知らずだし、ガリガリソファ以外では爪をとがず、机の上に飛び乗ったり物を壊すこともない。朝は人間が起きるまで静かにしていて、こちらが餌の用意を始めてからニャーと顔を出す。もう少しわがままな姿を見せてほしいなと思ったりもする。

先日、レースカーテンの下の方が少し裂けているのを見つけた。ポテが家に来た当初、夜鳴きして窓に飛びかかった際に爪が引っかかったのだろう。このカーテンは猫ブログを熱心に読んでいた学生時代、ニトリで一番安いのを選んで買ったものである。あれから10年、買い替えるほどのこだわりもないからという理由で使い続けてきたカーテンに、今はポテの痕跡がある。

宝物になったニトリのカーテン

このブログもポテの痕跡である。一緒に過ごす日々のことをこれからもなるべく書き留めておきたいと思う。それは何より私自身のためであるが、猫と暮らすことを夢見る誰かがこれを読んで背中を押される可能性も、ないとは限らないのだから。