キッチンカウンターの上の冒険

ポテがついにキッチンカウンターに登った。

ポテは滅多に高いところに上がらない。キャットタワー代わりに階段状のシェルフを置いてあるのだが、全く興味を示さない。上下運動といえばせいぜい人間のベッドに登ってくるぐらいである。

ところがある夜、キッチンでポテの食事の準備をしていて、ふと振り返るとカウンターの上に黒い物体がのっていた。びっくりした。我々はお互いの顔を見ながらしばらく固まっていた。カウンターにはコンロも包丁もあるし、危ないから降りてもらわないとと思った。でも同時に、さすが猫だな、やっぱり猫だったんだなとも思った。何より嬉しかった。公園の地面に腹ばいになって、高い所へ逃げる元気もなかった野良時代のポテの姿が頭をよぎった。

ごはんまだ?

そうして人間が内心慌てたりしんみりしたりしている間に、ポテはカウンターの探索を開始した。シンクのふちをぐるりと回り、水切りかごの中を確認し、空の餌皿に到達してジッとこちらを見上げた。私は結局嬉しさが勝って、カウンターの上で食事を提供することにした。

やれやれ やっと…

おや?

この音は…

帰宅帰宅ゥー!

いつもより80cmほど高い場所で機嫌よく食事を開始したポテであったが、同居人の帰宅に気づいてお迎えに向かったため、カウンターの上の冒険は終了したのだった。

たくさん遊んで満足

ちなみにその翌朝もポテはカウンターに上がったのだが、ちょうど飛び乗った先に敷いてあったキッチンペーパーに驚いてすぐに降りた。それ以来上がってこない。ポテの安全を考えるとこれで良かったのかなと思いつつ、少し残念な気持ちもあり、とりあえずカウンターの上に危険な物を置かないようにして様子を見守っている。